お尻に何か変な症状がでて、悩んでいるけれど、恥ずかしいとか、忙しいために病院(肛門科)に行こうか、どうしょうかと、迷っている方に。ちょっとした情報を提供します。
以下の中から、ご自分に合った症状を探して下さい。症状が複数ある場合があります。
目次
まずは、肛門の解剖について解説します。
1) 内外痔核
2) 裂肛
3) 肛門周囲膿瘍ないし痔瘻
4) 肛門小か炎
5) 便秘
6) 肛門周囲の帯状疱疹
7) 直腸癌
8) 肛門内異物(魚骨など)
9) 特発性肛門痛
1) 外痔核(特に血栓性外痔核)
2) 脱肛;内痔核、直腸粘膜脱、直腸脱、粘膜脱症候群
3) 肛門、直腸ポリープ
4) 肛門皮垂(ヒダ)
5) 肛門周囲に紛瘤
6) 直腸癌、大腸癌
1) 内外痔核
2) 裂肛
3) 直腸、肛門ポリープ
4) 肛門周囲膿瘍(痔瘻)直腸癌、結腸癌
5) 大腸憩室
6) 虚血性腸炎
7) 大腸炎
8) 炎症性腸疾患
1) 痔瘻
2) 内痔核、直腸粘膜脱、直腸脱、粘膜脱症候群
3) 尖圭コンジローム
4) 炎症性腸疾患
1) 肛門掻痒症
2) 肛門カンジダ(カビ)感染症
3) 痔瘻
4) 尖圭コンジローマ
5) 蟯虫
1) いわゆる便秘
2)過敏性腸症候群;便秘型、下痢型
1) いわゆる便秘
2) 直腸瘤; 直腸膣ヘルニア
3) 内痔核、直腸粘膜脱、直腸脱、粘膜脱症候群
4) 直腸癌、大腸癌
1.毎日お風呂に入りましょう。
2.おしりをきれいに保ちましょう。
3.便秘、下痢に注意しましょう。
4.排便の時に強くいきまない、トイレに長く入らないようにしょうにしましょう。
5.便意があれば我慢しないで、すぐにトイレに行きましょう。
6.腰やおしりを冷やさないようにしましょう。
7.長時間車に乗ったり、立ちっぱなし、座りっぱなしにならないようにしましょう。
8.アルコール類や刺激物を控えめにしましょう。
9.繊維の多く含まれる食べ物を多く取り、水分を多めに取りましょう。
10.排便時の出血には大腸癌がひそんでいる場合があります。早めに検査を受けましょう。
種々の疾患の中で、肛門の3大疾患は痔核、裂肛、痔瘻です。
この3大疾患について解説します。
内痔核は時計方向で説明すると、3、7,11時によくできます。
内痔核の程度分類;ゴリガー分類があります
1度;排便時血が付く、少し、痛みがある(無い場合が多い)
Ⅱ度;排便時、脱出するが、自然に入る
Ⅲ度;排便時、立って入りと脱肛し、自分で押し込む
Ⅳ度;脱肛し、自分で押し込んでも入らない、不快感、痛み
を伴う場合が多い
座薬、軟膏、飲み薬などを使用します。排便管理も重要で、便秘薬を併用する場合があります。投薬にて症状が改善する場合も多くあります。
上に記したゴリガー分類で、Ⅲ、Ⅳ度の痔核
注意;Ⅱ度の痔核でも出血が多い場合は外科的処置の適応になります
Aluminium potassium sulfate tannic acid(略してALTAと言います)という注射を4段階注射法という、取り決められた方法で内痔核に注射して硬化させます。
当院での経験では10年経過して再発率は25%あまりになります。全国的にも、同じ位の再発率です。しかし、ALTA単独では再発率が高く、ALTAに外痔核切除を追加すると再発率は低下します。また、主な痔核を切除すると、一層、再発率は低くなります。従って、症例を選んで、ALTAのみ(日帰り)、ALTA+外痔核切除(日帰りないし1泊)、を選択し、患者様の希望も取り入れて、術式を決めます。また、以下に記した様な手術(結紮切除)(4泊)を取り入れると、再発率は明らかに低下します。
硬化療法の最大の利点は日帰りないし1泊で良いこと、そして、高齢者や合併症の多い方にも使用(手術)可能です。硬化療法も一応、手術の中に入ります。
内痔核を鉗子という、小さな器具でつかみ、つかんだ内痔核にゴム輪をつけて、痔核を脱落させる方法です。外来の診察室で簡単にできます。滅多にないのですが、ゴムが取れた際に出血する場合があります。手術療法と比べると、再発率は高いです。
痔核を結紮切除し、縫合半閉鎖します。この術式が、最も一般的な術式で、肛門外科医の基本と考えられています。経験的に筋肉を傷付ける事は有りません。
まれに、術後7-14日目くらいに出血して、止血を必要とする場合が有り、その発生を少なくするために、次の術式が有ります。
主な痔核を切除し、他の痔核はALTA注射します。この方法が合併症も少なく、再発を抑えられるので、主流になってきております。
排便がらみで、肛門の出口付近(肛門管)に傷が付きます。女性にやや多く、便秘や下痢で、発生しやすいです。多くの方は、排便管理と軟膏の使用で,おさまりますが、長期的な管理が必要です。
慢性化すると難治性の潰瘍となり、皮垂や肛門ポリープを作り、さらに長期化すると狭窄をきたします。
軟膏、排便管理(普通便でも最初に出てくる便が固いと切れます。下痢便でも裂肛はできます。もちろん、まれに、正常便でもできる場合があります)
慢性化がひどく、肛門ポリープが脱出して痛みが強い場合や狭窄してくると手術適応となります。
以下の方法が有ります。
当院では主にLay openとSSGを採用しています。
LSISは外来でできる比較的簡単な術式ですが、内括約筋を切るので、その切る程度が難しく、切りすぎるとよくないし、切り方が少ないと再発します。全国的にみて、施行する施設としない施設があります。当院では行っていましたが、現在は行っていません。
男性に多く発生します。アルコール、たばこなど、それから、下痢する方に多いようです。原因口(1次口)から細菌が侵入し、奥の肛門腺に感染し、腫れてきます。膿を出さないと、痛みが取れず、発熱します。ひどくなると、全身に感染がひろがる危険性があります。自壊ないし切開にて出来た口が2次口です。
痔瘻には分類方法(隅越分類)があります。
1次口がはっきりしている方は根治手術を行います。
手術術式としては、以下の方法が有ります。
などが有ります。現在、当院では、lay open法とseton法が主流となっております。
Ⅰ型痔瘻ないしⅡ型後方痔瘻(深くない、尾骨側の痔瘻)
一般的な方法ですが、肛門の後方(尾骨側)の痔瘻が適応で、それ以外の部位、特に肛門の側方、前方の痔瘻の場合には筋肉を切離するため行いません。
方法は切開または自壊して膿が出ている口(二次口と言います)と肛門管にある原因口(一次口と言います)を切開し瘻管をopenにしてしまいます。簡単な術式です。入院も3-4日間位です。再発率は僅かです。零ではありません。
浅い肛門後方痔瘻は筋肉がわずかしか絡んでいないため、解放する簡単な術式です。入院日数もわずかです。
肛門の後方(尾骨側)の痔瘻にしか採用出来ません。
Ⅱ、Ⅲ、Ⅳ型痔瘻
昔からあった方法ですが、肛門の筋肉に大変優しい良い方法と考えられ、最近急速に見直されてきた術式です。
肛門のどの部位の痔瘻にでも適応されます。肛門括約筋をアラビアゴムで緩やかに結紮し、Ⅱ型痔瘻では30日位、Ⅲ、Ⅳ型痔瘻では3か月位かけて、ゴムが取れるようにします。ゆっくりと筋肉をゴムで切離するために、筋肉が離れず固定され、術後の肛門機能が良好に保たれます。
再発率は2型では %、ⅢないしⅣ型では %位あります。この値は全国の有名な肛門外科での値とほぼ同様です。
どの部位の痔瘻にも適応されます。また、複雑痔瘻にも適応があります。入院日数は4-5日間ですが、例外はあります。
ゴムが30日―90間位、肛門に残ります。今まで数千人にこの方法で手術しましたが、ゴムが気になってと言う人は2人でした。滅多に、気にならないです。
その他、気になる、最近、多い疾患について解説します。
痔瘻の方で、腸に特殊な炎症をきたす病気があります。近年、急速に増えております。それはクローン病(炎症性腸疾患)です。
この場合、痔瘻の管理と共に、全身管理が必要です。
当院ではクローン病を含めて潰瘍性大腸炎(まとめて炎症性腸疾患といいます)の多くの方の診断、治療を行っております。
色々、検査しても原因のない場合です。
夜中に起こりやすく、肛門の奥の方に痛みを感じて目が覚めます。しかし、10分くらいで消えてしまいます。時々、発生します。
安静時、じっとしている時などに、肛門に痛みを感じます。あまり奥の方ではない様です。肛門が気になります。
薬物療法、暗示療法(治療側と治療を受ける側、共に心配ないと暗示してゆきます)、超音波刺激療法(1週間毎に、経肛門的に超音波で刺激する療法)などがあります。